増刊号特集 泌尿器科治療薬マニュアル—私の処方箋
疾患別薬剤投与プロトコール
感染症
腎盂腎炎
松本 哲朗
1
1九州大学医学部泌尿器科
pp.107-110
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900862
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腎盂腎炎とは
腎盂腎炎は腎盂から腎実質に起こった非特異的な炎症で,一般に大腸菌を始めとする腸内細菌科の通性嫌気性菌による上行性感染によることが多い。尿路に基礎疾患を有する場合,複雑性腎盂腎炎と言い,有しない場合,単純性腎盂腎炎と言う。複雑性腎盂腎炎は慢性,単純性腎盂腎炎は急性の経過をとることが多い。
i)急性単純性腎盂腎炎:悪寒,戦慄,発熱など急性感染症状を呈し,腎部に一致する側腹部から背部の疼痛のあることが多い。上記症状に加え,膀胱炎症状を伴う場合も多い。性的活動期の女性に多いが,幼小児期にもみられる。起炎菌の多くは特殊な線毛(P線毛)を有する大腸菌のことが多く,線毛を介して腎実質内のレセプターと特異的に結合し,感染を引き起こすとされている。
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