臨時増刊特集 診断基準とその使い方
VIII.腎・尿路疾患
腎盂腎炎
越川 昭三
1,2
1昭和大
2藤が丘病院内科
pp.2069-2071
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207599
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疾患概念
腎盂腎炎という診断名の用い方に以前はかなり混乱があったが,最近は次第に整理されてきた.腎盂腎炎の組織像は間質性腎炎interstitial nephritisの像である.このため腎盂腎炎を間質性腎炎と称したり,あるいは間質性腎炎の組織所見を呈するものをすべて腎盂腎炎と称した時期があった.しかし間質性腎炎の組織所見は腎の感染症以外の疾患でも認められることが判明して,現在では間質性腎炎のうち細菌感染によるものを腎盂腎炎と称することが一般化した.つまり腎盂腎炎とはbacterial interstitial nephritisである.
急性腎盂腎炎acute pyelonephritis腎盂腎杯および腎実質の急性感染症をいう.急性腎盂炎acutepyelitisは炎症が腎盂粘膜に限局して腎実質に波及していないものをいう.定義の上では両者の区別は明確であるが,実際の臨床の場で両者を鑑別することは容易でない,臨床症状が軽くても腎実質に炎症が波及していることがあり,臨床症状の軽重は両者の鑑別に役立たない.病理組織学的にみると,腎盂粘膜に炎症が存在するときには多かれ少なかれ必ず腎実質にも炎症が及んでいるといわれる.
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