交見室
尿道異物の摘出—細径尿道手術鏡の発案,他
藤田 公生
1
1国立病院医療センター
pp.642-643
発行日 1989年7月20日
Published Date 1989/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205031
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尿道の異物,結石はあまり多いものではないが,そのような症例に出合ったときにいかに手際よく処理できるかというのは泌尿器科医の熟達度を示すひとつの指標になるのではないかと思われる。なるべく手術だの麻酔だなどといわずにとってやりたい。例をあげると,尿道の奥のほうに入ってしまった待針を抜くことのできる人はどのくらいいるだろうか。いざというときに役立つように,先人のいろいろなアイデアを記憶にとどめておくことが大切であり,本誌43巻3号の「手術手技--尿道異物と結石」とともに,「尿道膀胱異物の除去法(西日泌尿38:687-690,1976)」を読まれておくことをお勧めする。
例えば触診で振子部尿道に外部から結石を触れたときに,鉗子を挿入すれば簡単に挟んでとれるだろうと考えるのは素人の発想である。その発想が現実にうまくいかない理由は,尿道の断面をみればよくわかるように,Fr.24やそれより太いものを簡単に通すことのできる太さをもつ尿道が,ふだんは深いひだをつくってつぶれているからである。鉗子で結石を挟もうとすると確かに結石を挟むことはできるのであるが,粘膜もいっしょに挟んでしまうので,結石だけを引き抜くことができない。
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