日本泌尿器科臨床史・17
日本における前立腺の認識史—その1
友吉 唯夫
1
1滋賀医科大学
pp.714-715
発行日 1992年8月20日
Published Date 1992/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900663
- 有料閲覧
- 文献概要
五臓六腑に属することもない前立腺という臓器の存在が,日本で,はじめて認識されたのはいつだったのであろうか。山脇東洋は1754年に日本最初の人体解剖を京都所司代処刑者におこなったうえ,その記録を『蔵志』(1759)として出版したが,これには前立腺は描かれておらず,膀胱の内尿道口で下端が終わっている(図1).また本文中にも記載はない.
はじめて前立腺が登場する医書は『解體新書』(1774)である.これは杉田玄白らがオランダ語の『ターヘル・アナトミア』(1734)をもとに編纂したものであるが,このなかには明らかに前立腺が描かれており(図2),次のような本文中の記載がある.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.