日本泌尿器科臨床史・20
精嚢の認識史
友吉 唯夫
1
1滋賀医科大学
pp.982-983
発行日 1992年11月20日
Published Date 1992/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900744
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精嚢は前立腺より早く日本の医書に登場した.まず,『解體新書』(1774)には,その位置,形態とも正確に図示されており,「精嚢ハ親したしク膀胱之嚢口後ニ在リ,是レ精ヲ儲たくわヘ及其精ヲ射出スルヲ主つかさどル」と本文中に簡潔に説明している.
ついで,『西説醫範提綱』(1805)で宇田川玄真は,精嚢の隣接臓器との関係も『解體新書』よりも詳細な図を載せるとともに(臨泌46(8):715,図5参照),精嚢は隔膜によって区分されているという内部構造を示している(図1).ただこの図では精管,精嚢,射精管の関係は明瞭であるとはいいがたいが,説明のなかで精管下端は精嚢の頸内に開口するとしている.本文中の精嚢の解説も『解體新書』より格段に詳しくなっている(図2).精管,精嚢,射精管の関係をどう認識しているかに注意しつつ要点をまとめると次のようになろう.
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