日本泌尿器科臨床史・11
日本における尿石成因論の近世史—その1
友吉 唯夫
1
1滋賀医科大学
pp.166-167
発行日 1992年2月20日
Published Date 1992/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900538
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尿路結石症は人類の歴史とともに古い病気であるから,日本の古医書のなかにもかなり詳細な結石成因にかんする記述がみられる.ただしヨーロッパでは1817年に「An Essay on the Chemical History and Medi-cal Treatment of Calculous Disorders」というAlex-ander Marcetの単行本がロンドンで出版されているから,これは相当進んでいた.
日本の医書で,私が調べた範囲ではあるが,尿石の成因について記述している最も古いのは岡本一抱の「方意弁義医方大成論諺解」(1685)である.岡本一抱(生歿年不詳)(図1)は近松門左衛門の弟で,多くのことわざを入れた平易な医書をいくつか出しているが,医学が通俗に堕落する傾向を近松にいましめられたということである.
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