小さな工夫
長期フォーリーカテーテル留置患者における尿道洗浄法の工夫
高岩 正至
1
,
一條 貞敏
2
1米沢市立病院泌尿器科
2福島県立医科大学泌尿器科
pp.987
発行日 1991年11月20日
Published Date 1991/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900482
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老人性痴呆や脳血管障害を基礎疾患にもち,いわゆる寝たきり状態になった場合,その尿路管理法にはまだ多くの問題が残されている,最近では薬剤投与や間歇導尿法を駆使してカテーテル・フリーにすることが原則とされているが,実際には種々の事情から長期の尿道カテーテル留置をやむ得ず行うこともまだ多い.そこでフォーリーカテーテル長期留置患者に対し,慢性膀胱炎,慢性尿道炎および尿道瘻などの発生防止を目的とし,膀胱洗浄と尿道洗浄とを使い分けできるカテーテルを試作した.
このカテーテルは,16Fr 3ウェイ・フォーリーカテーテルの小径の管腔の側穴部をバルーンより外尿道口側に移動している.開口部の位置は膀胱頸部より25,30,35,40,45,50mmの6種類とし,症例に応じ側穴部が括約筋部尿道よりもわずかに膀胱側に位置するようなカテーテルを選んで留置した.そしてカテーテルをこの状態に保つことにより通常の3ウェイ・カテーテルを用いた灌流式膀胱(主に生食500mlの点滴)を行うことができる(図1).さらにカテーテルを軽く牽引することにより側穴は外尿道括約筋よりも遠位側にずれるため,注射器にてカテーテル内に注入した洗浄液が外尿道口より排出され尿道洗浄を行うことができる(図2).
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