交見室
Interventional Uroradiologyの萌芽期を経験して,他
勝岡 洋治
1
1東海大学
pp.446-448
発行日 1991年5月20日
Published Date 1991/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900323
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1975(昭和50)年当時,今日のようなInterven-tional Uroradiologyの発達と隆盛を予測すらできなかったのであるが,この分野の萌芽期に筆者は記念すべき症例を経験しているので,他誌にも一度感想文を寄せたことがあるが,あらためて紹介する.
今でも鮮明に記憶していることであるが,慶応病院で卒後研修の5年目に,外科より持続する濃血尿の患者の治療を依頼された.患者は膵がんの末期で痩身針のごとくであったが,膀胱血液タンポナーデをくり返していた.原因は膵頭部より連続にがんが腎に浸潤したことによると推定された.腎摘出も困難であり,その他に有効な手段もなく腐心していた折,一編の英文論文から消化管出血に対する塞栓療法を知ったので,平松京一先生に御相談したところ,快く賛同下さり,先生自ら実施いただいた.当時は塞栓物質としてゼラチン・スポンジや金属コイルなど一般的ではなく自家血栓を用いたのであるが,結果は劇的で瞬時に止血された.外科の担当医はこの新しい試みに深く驚嘆され,筆者も鼻高々であった.10余年を過ぎて平松先生にお会した時,先生はあの症例は今でも鮮明に記憶しており記念すべき第1例目であったと話された.
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