小さな工夫
Stamey手術における弱弯ケリー鉗子を用いた膀胱瘻作成
朴 勺
1
,
友吉 唯夫
1滋賀医科大学泌尿器科学教室
pp.442
発行日 1991年5月20日
Published Date 1991/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900322
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女性腹圧性尿失禁患者にStamey手術は広く行われるようになってきた.その手術方法は各施設において若干の工夫がなされているが,膀胱瘻作成についてみると,原法では膀胱を充満させて経皮的に穿刺して設置しており,多くの施設でもこの方法に準じているようである.当科においては,最近の1年間に10例のStamey手術を経験したが,膀胱瘻作成方法は腹壁穿刺による作成が1例,ジッテル氏尿道ブジーを経尿道的に挿入し,膀胱と腹直筋筋膜を穿通して皮膚を持ち上げ,小切開を加えてブジーの先端を出し,それにバルーンカテーテルをかぶせて作成する方法を2例に行った.しかし,ブジーを用いる方法だと,カテーテルを膀胱内に引き込む時にブジーとカテーテルがはずれることがあり,数回この操作を繰り返さねばならないことがあった.そこで,以後の7例に対して弱弯ケリー鉗子(24cm,泉工医科工業)を用いて経尿道的に膀胱瘻を作成したが,簡便かつ確実にでき,そのうえ特殊な器具も不要であり,本方法は有用と考えられるので紹介する.
型のごとくナイロン糸を両側に通し,張力をかける前に外尿道口からケリー鉗子を膀胱内に挿入し,先端を突き上げるようにして膀胱壁と筋膜を穿通させる.先端を正中で恥骨上縁より2横指上にもってくる.尖刃刀で皮膚に小切開をいれ,鉗子を先に出す(図1).
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