Japanese
English
手術手技 難しい手術
胸郭内腫瘍血栓を伴う腎腫瘍
Removal of Intra-atrial Thrombus of Renal Tumor
井坂 茂夫
1
,
島崎 淳
1
,
宮崎 勝
2
,
増田 政久
2
,
中川 康次
2
Shigeo Isaka
1
,
Jun Shimazaki
1
,
Masaru Miyazaki
2
,
Masahisa Masuda
2
,
Koji Nakagawa
2
1千葉大学医学部泌尿器科学教室
2千葉大学医学部外科学第1教室
1Department of Urology , School of Medicine, Chiba University
2Department of Surgery, School of Medicine, Chiba University
pp.119-124
発行日 1990年2月20日
Published Date 1990/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900019
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腎腫瘍は5〜10%に下大静脈への進展が認められ1),まれながら胸郭内,右房まで腫瘍血栓が進展していることがある。化学療法,放射線療法がほとんど効果を期待できない現状では,このような進行癌に対しても手術以外には根治を期待できる方法はなく,手術のタイミングを失すれば下大静脈閉塞にもとづく腎不全,肝不全や右房内腫瘍血栓による急性心不全などをきたす危険があり,患者はぎりぎりの生命の危機にさらされている。十分かつ迅速な術前診断のもとに手術適応を決定し,泌尿器科医を中心として心臓血管外科,肝臓外科とチームを編成し,綿密な打ち合わせを行って手術にのぞむべきである。本稿では私達の経験した左腎細胞癌の右房内進展症例の手術手技について述べる。右腎原発の場合は左腎静脈の再建は必要ないことが多い。また腫瘍血栓が浮遊状態にあれば下大静脈は切除しなくてよい。腫瘍血栓が右房壁に浸潤癒着している場合は切除不能であり手術の適応外と考えられる。
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