連載 医薬系プレゼンテーションの技術―知れば,学べば,必ず上達!・第8回
ビジュアルテクニック(スライド編④)
井上 貴昭
1,2,3
1原泌尿器科病院
2神戸大学泌尿器科
3国際プレゼンテーション協会(IPS)医学プレゼンテーションチーム
pp.706-709
発行日 2020年8月20日
Published Date 2020/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413207005
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
書体
◯書体は見た目で印象を左右する
さて,今回は「書体」について少しお話ししてみよう.書体にはそれぞれ独自の個性がある.プレゼンテーションで最も大切にされるのが“視認性”だ.「どの書体が最も聞き手にとって視認性が高く,視覚に飛び込みやすいか」に関してはいまだに激しい議論があり,決定的な研究結果は出ていないようだが,私が愛用している『slide:ology』1)に次のような面白い話がある.作者にとってスライドは広告看板に似ているという考えのもと,たまたま泊まった高層ビルの28階から見える40枚ほどの看板を見たところ,唯一読み取れたのは「サンセリフ書体*」で書かれた看板だけだったようだ.だから,おそらく視認性が高いのは「サンセリフ書体」なのかもしれない.もちろん私もすべての個性を知っているわけではないが,よく使う書体の特徴と聞き手が受け取るその印象について,ここから説明していきたい.
ちなみに1回のプレゼンテーションで使う書体は1個または2個までにしよう.なぜなら,たくさんの書体が1つの物語にあると,視認性が異なり,聞き手の受け取る印象が変わってしまうからだ.1つは見出し,もう1つは本文に使うのがよいだろう.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.