特集 ここまで見える! 泌尿器科における可視化の進歩
企画にあたって
近藤 幸尋
1
1日本医科大学医学部泌尿器科学講座
pp.593
発行日 2019年8月20日
Published Date 2019/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206687
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「五感を研ぎ澄ます」という言葉があります.人間のもつ感覚をフルに使って行動することでありますが,そのなかでも「視覚」は非常に大切な感覚です.実際に物が見えなかったり見えにくかったりしますと,想像力を働かせてそれを補うこととなります.
医療においては,触診や聴診などにより実際に見えていない箇所を想像して,診察を行ってきました.例えば尿管結石ですと,腎部など疼痛部位の触診を行って叩打痛があることを確認し,それに検尿による赤血球の増多などの客観的な裏付けを得て,診断に至るわけです.それに加えて,X線やCTで石灰化像を認めれば診断の完成です.検査や手術においても,「これは正常」と「違いそうだ」という,今までの経験を用いた医療が行われてきました.そして生検などを行い,確定診断としていたわけです.これでは見えにくいものに対しての想像力豊かな経験者に勝ち目はありません.
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