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編集後記
小島 祥敬
pp.554
発行日 2017年6月20日
Published Date 2017/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206051
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「まだ東北で良かった」という失言により,復興大臣が辞任に追い込まれ,新しく福島県選出の議員が任命されました.所信表明にて「被災者に“寄り添い”きめ細やかに対応してまいります」と述べられました.
医療現場においても,患者さんに“寄り添い”という言葉が,最近流行り言葉のように使われています.これまで上司には,“患者さんの気持ちになって”と指導されました.かく言う私も,ここ数年同じようなことを言っています.しかし最近,これらの言葉がいかに表面的で,実行が難しいことかを実感した出来事がありました.私事ですが,先日心臓アブレーション手術を経験しました.昨年9月に突然倒れて,原因が発作性心房細動と診断されました.薬物治療は効果がなく,手術に踏み切りました.手術を受ける患者の立場になり,患者という視点で医療を客観的に観察すると,いろいろなことが見えました.私の結論は,「患者さんの気持ちは,患者になって初めてわかる」ということです.患者さんに“寄り添う”という言葉の重みを感じ,軽はずみに使う言葉ではないということを実感しました.そういう意味では,新復興大臣は自らが被災者であり,その職にふさわしい人物だと期待したいところです.
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