特集 泌尿器科医のための放射線治療学講座─基礎から徹底的に理解する
企画にあたって
鈴木 和浩
1
1群馬大学大学院医学系研究科泌尿器科学
pp.649
発行日 2016年8月20日
Published Date 2016/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205758
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泌尿器科領域の腫瘍に対する放射線治療は,大変重要な役割を果たしています.特に,前立腺癌に対する根治療法としての放射線治療は,限局性前立腺癌の治療戦略のなかでなくてはならない存在です.さらに,2016年に入り塩化ラジウム(Ra-223)が去勢抵抗性前立腺癌に使用可能となり,核医学分野と協調した治療が可能となりました.このような状況で,今回改めて腫瘍治療における放射線を基礎から理解していただくために本特集を企画いたしました.
前半は,放射線の基礎として,核医学分野,放射線治療分野,そして粒子線とX線について基礎的な解説をしていただきました.ここで取り上げた内容は,Ra-223を使用した治療,各種放射線治療における効果と有害事象,粒子線の特徴などを理解する基礎となり,泌尿器科医にとって放射線治療を依頼するうえでとても参考になります.後半の臨床的事項では,近年進歩している定位放射線治療,画像誘導放射線治療(IGRT),放射線増感,緩和照射について,泌尿器科領域との関連も含めて概説していただきました.最後に研究的なトピックスとして,がん免疫放射線療法について解説していただきました.免疫チェックポイント阻害薬が使用可能となってきている現在,放射線治療との併用の可能性など,今後の発展を予感させます.
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