交見室
保存的手術を行った同時発生左腎癌と右腎盂癌を読んで,他
松村 陽右
1
1岡山大学
pp.920-921
発行日 1989年10月20日
Published Date 1989/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205092
- 有料閲覧
- 文献概要
本誌43巻2号で白井氏らの極めて稀な症例を,比較的長期の経過観察の後に報告されているのを興味深く拝読しました。近年の画像診断,内視鏡の急速な進歩により尿路癌の早期発見例が増加するとともに,臓器保存的手術を指向する傾向にあります。われわれも,65歳男性例で血尿を主訴とし,右腎孟癌,左腎癌であった症例を経験しています。自験例は,DIPで左腎癌の診断がえられたが(腫瘍の大きさは5×5cm),念のため行った膀胱鏡検査で右尿管口からの血尿が確認された。pyelogram, CTでは,右側に明らかな異常陰影は認められなかったので特発性腎出血として硝酸銀溶液の注入により止血したのち,左腎摘出術を施行した。術後3ヵ月目に再出血したため経皮的にflexiblePyeloscopyを施行したところ,上腎杯に6×2.3mmの乳頭状腫瘍(transitional cell carcinoma,grade 2non-invasive)が認められ電気凝固した。術後2年経過した現在,再発・転移は認められていない(第39回日本泌尿器科学会西日本総会,「経皮的腎盂鏡により処置し得た腎孟腫瘍の1例」として報告)。この症例には3ヵ月間nephrostomyを置きpycloscopyにて治癒状況ならびに再発のないことを確認した。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.