手術手技
追加発言 1
有吉 朝美
1
Asami Ariyoshi
1
1福岡大学医学部泌尿器科学教室
pp.515-516
発行日 1984年6月20日
Published Date 1984/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203827
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チューブレス尿管皮膚瘻術は,腸管利用尿路変向術と比較した場合,いくつかの優れたメリットがあるが,万能ではないという視点から見ると,中野・林論文に述べられている適応選択基準はきわめてreasonableなものである。われわれの経験から,チューブレス尿管瘻の成功が確実に期待できるのは"著しく拡張肥厚した"尿管だけであり,その他の場合では,安定性,信頼性に問題があることを認めざるを得ない。失敗してもともとという気持で気軽に作つた尿管瘻が14年以上不安なく維持されている例もある反面,慎重に成功を期して作られた尿管瘻が早晩狭窄化することなどをよく経験しており,かなり偶然性が運命を左右している1)。したがつて,本手術をfirst choiceにしうる症例はさほど多くない。以前では,骨盤内進行癌における姑息的尿ドレナージのため,尿管瘻術が躊躇なく行われたが,かかる目的には,現在ならば経皮的腎瘻術やシリコンステントの長期留置などを考慮し,手術が必要なら回腸導管との優劣を検討した上ではじめて尿管瘻術を行つている。
次の適応として,膀胱全摘後の尿流処理があるが,われわれはできるだけ回腸導管を作成しており,ルーチンに尿管瘻を採択すべきではないと考えている。それは,後になつてストーマの狭窄などの合併症が続発することが予測されるからである。
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