手術手技
追加発言
田崎 寛
1
Hiroshi Tazaki
1
1慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室
pp.909
発行日 1985年11月20日
Published Date 1985/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204161
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全除精術はそれを受ける側はもとより,それを行う側にとつても決して好ましい手術ではない。著者も冒頭に述べているごとく,この手術の適応症例が急速に減少していることは単に化学療法や放射線療法など集学的治療の発達のためばかりではなく,本来進んで行うというには総合的に犠牲が大きすぎる手術であることに原因を求めるべきであろう。
癌の手術には2つのまつたく異なつた方向への目的が要求される。一つは癌の根治性に向うものであり,他の一つは手術後の機能維持を目的とする方向である。この2つの方向は相殺して結果は中途半端になるケースも少なくないが,多くの場合はどちらかを優先させる結果,他は顧みられないか放置される。しかし,両者を十分に生かすことも考えられることであつて,全除精術に関しても術前に手術の目的を十分に討論し結果を予測することが肝要である。
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