交見室
腎外傷とその周辺/尿道内圧曲線に対する尿道周囲臓器および腹圧の影響について
十川 寿雄
1
,
原田 卓
1
1関西医大泌尿器科
pp.188-189
発行日 1982年2月20日
Published Date 1982/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203305
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最近5年間の当教室自験例について第69回日泌総会に報告したが,第35巻第11号「腎外傷200例の臨床観察」は興味ある内容であつた。自験例38例中,外科的療法を必要としたもの14例(37%)に比し報告例13%とされていることは第1次〜第3次救急の差があらわれたものと思われる。また原著では触れられなかつた腎外傷型別分類についての考察では,わが国では銃創(gun shot wound)が少ない結果と思われるが,腎茎部のみの損傷例がとくに少ないことが特徴的である。
尿路損傷の診断方法としてDIVP,angio,enhanced-CTおよびUSG(超音波診断)はもはや必須となりつつあると思われるが,とくにIVPに続いてCTを実施することにより,尿路損傷に伴う血腫形成と尿溢流を的確に診断できるようになつた。また保存的治療例の予後follow upにもCTが有益と考えられるので今後の応用が期待される。更に血液化学的検査からも,腎実質損傷と血清中LDH分画変動との関係が考えられるが,所要時間の関係などよりGOT値から肝損傷の合併の有無を判断するにとどまつている。将来,補助診断法のひとつとして検討される課題と思われる。
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