文献抄録
女性ホルモン無効前立腺癌に対する除睾術の意義について
pp.560
発行日 1981年6月20日
Published Date 1981/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203161
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前立腺癌に対する女性ホルモンの有効期間は症例によつてまちまちであるが,女性ホルモンが無効になつた時点では,一般には抗男性ホルモン治療の効果を期待して,更に大量の女性ホルモン投与あるいは除睾術が施行される。しかし,その効果については不確実で,効果判定のcriteriaもはつきりしていない。そこで著者らは30例の前立腺癌症例について,女性ホルモン無効診断のcriteriaには何がよいか,そして除睾術の効果について検討した。著者らの取り上げた検索項目は,酸アルカリフォスファターゼ値,排尿時尿道撮影,胸部X線所見,RI骨スキャン,TURの生検術所見,双手診所見などである。30症例はすべて女性ホルモン治療をうけた症例であるが,治療中に原発病巣の増大,血清中の酸フォスファターゼの上昇,X線学的に骨に新転移巣の出現,骨スキャンで病巣の増悪など何れかの他覚所見が悪化した時点で女性ホルモン無効と診断した。女性ホルモン無効と診断された時点で,17症例は骨に新病巣の出現と疼痛を訴え,13症例は無症状であつたが,骨スキャン,酸フォスファターゼ値などの増悪を示した。この時点で被膜下除睾術を施行したのは21例であるが,その結果は1例に他覚所見の改善,3例に自覚的疼痛の消失を示し,残り17例は除睾術の効果は見られなかつた。
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