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合成女性ホルモン「スロン」による前立腺癌の内分泌療法
小澤 靜
1
1横濱醫科大學泌尿器科教室
pp.238-240
発行日 1951年5月1日
Published Date 1951/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200516
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緒言
前立腺癌の治療は腫瘍が被膜内に限局している早期に剔出するを以て根治療法とするが,かかる早期に我々の外來を訪れることは少なく,多くは周圍組織に程度の差はあるが浸潤し手術の時を逸して,僅かに經尿道的に腫瘍組織の一部を切除し或はレ線照射ラドン針の打込み等の姑息的療法を行うのみであつた。ここに登場したのがHugg-insによる内分泌療法(抗男性ホルモン療法)であつた。(1941)本法は根治的療法ではないが腫瘍の縮少,進行停止が可成り速かに認められ且轉移病巣も同樣によく本療法に反應するので,手術を容易ならしめるのみでなく末期の疼痛,全身衰弱等はよく恢復し,前立腺癌治療上に一大進歩を齎したものというべきである。本法は一般的には除睾術と女性發情ホルモンの大量注射ということができる。米國に於ては女性ホルモンは主として,diethylstilbesterolが使用されて成績をあげているが,我々は本邦で入手し易い合成女性ホルモンスロン(4,4-Dioxy-γ,σ-diphenyl-n-hexan)を用いて本療法を行つたので其の概要を報告する。
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