特集 前立腺疾患のすべて
Ⅴ 前立腺疾患のトピックス
前立腺癌のホルモン耐性メカニズム
大東 貴志
1
Takashi Ohigashi
1
1慶應義塾大学医学部泌尿器科
pp.299-304
発行日 2003年4月5日
Published Date 2003/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100872
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1 はじめに
1940年代にHuggins & Hodges1)が,アンドロゲン除去が前立腺癌患者の症状を改善することを報告して以来,ホルモン療法は進行前立腺癌に対する標準的な治療法となっている。初期の内分泌療法の奏効率は約80%と高いものの2),その半数以上は5年以内にホルモン耐性となり,再燃に陥るとされている。いったんホルモン耐性となった前立腺癌に対しては現在のところ有効な治療法がなく,ほぼ全例癌死する。前立腺癌がホルモン耐性を獲得するメカニズムはまだ完全には解明されていないが,近年の研究により徐々に新しい知見が加わってきた。これを解明し,再燃前立腺患者に対する新たな治療法を開発することが,前立腺癌の研究に残された最も大きな課題である。
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