講座
泌尿器科領域の細胞診(4)—膀胱腫瘍細胞の形態とその病理組織学的背景
山田 喬
1
Takashi Yamada
1
1獨協医科大学病理
pp.969-976
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202829
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尿路に発生する大部分の腫瘍は移行上皮癌であり,次に扁平上皮癌,そして稀に腺癌および非上皮性腫瘍が発生する。したがつて膀胱腫瘍の細胞診の対象のほとんどは,移行上皮癌ということになる。先に記載したごとく,移行上皮癌は症例によりその悪性度が著しく異なり,またその細胞および組織構築も著しく異なる。したがつて単に悪性腫瘍か否かという診断のみならず,患者の予後を占うべき悪性度の判定なしには診断の意味が著しく減少する。それゆえ従来種々の角度より悪性度に関する移行上皮癌の臨床病理学的分類が行なわれ,それに基づいた治療法が選択されてきた。その代表的な分類は主として細胞異型に基づく悪性度の分類(Brodersの分類)と癌の深達度に基づく分類の両者を総合したいわゆるdual classifi-cationであろう。
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