文献抄録
広範有転移睾丸腫瘍の化学療法
pp.429
発行日 1979年5月20日
Published Date 1979/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202738
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睾丸腫瘍は男性悪性腫瘍の1%程度であるが,25歳から35歳男性の死亡率では最高を示している。睾丸腫瘍の化学療法は,Li(1960)が転移性睾丸腫瘍にactinomycinD,chlorambucil,methotrexateなどを用いて50〜70%の有効例を報告して以来にわかに注目されて,過去15年間に極めて多数の報告を見ることができる。最近ではvinblastinとbleomycinの併用が注目されているが,著者らはこの2剤とcis-diamminedichloroplatinum(白金と略)の3剤併用によつて,1974年以来50例の広範有転移睾丸腫瘍の治療を行なつて従来の化学療法では得られなかつた極めて高い完全緩解率をあげ報告している。薬剤の投与方法は,白金は1回量0.2mg/m2の点滴注射を週5回,vinblastineは1回量0.2mg/kgを週5回,bleomycinは白金と共に週30単位の割に投与して,これを3週継続して1クールとする。比較的速効性があるので2クールを原則とする。治療成績についてみると,50例の精細胞起源性腫瘍に用いて3例は投与後1〜2週にて死亡したが,これらは高度の肺転移症例で統計より除外し,残りの47例について報告している。
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