Urological Letter
Ⅰ.両側腎の銃創,他
pp.580,592
発行日 1977年7月20日
Published Date 1977/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202385
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朝の8時半,大きくがつしりした筋肉質の風采の佳い男が犯人の元のガールフレンドをエスコートしていた。その加害者というのは元はこの被害者の無二の親友だつたのである。彼らが出合つたとき,加害者は22口径の銃で2度被害者を撃つた。最初の弾丸は左上腹部に入り患者の体を穿通して左肋骨脊椎角から外に出た。第2弾は被害者が急いで逃げようとしたときに当つた。弾丸は背面で右肋骨脊椎角から入り右上腹部に射出口ができた。
両腎とも完全に穿通された。右腎上極の腎実質および左腎の中部腎実質がやられていた。経腹腔的に腎を直接しらべてみたが,いずれの腎にも肉眼的出血もほとばしり出る出血も認められなかつた。尿の転送経路には何ら損傷はなかつた。他の腹部内臓器への損傷は一般外科の同僚達が修復してくれた。患者は無事回復した。追跡的検査のX線フィルム上には左腎中腎杯に軽い瘢痕形成が認められただけであつた。
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