Japanese
English
綜説
インポテンツの心理療法
The Treatment of Impotence by Psychological Approach
赤木 稔
1,2
Minoru Akagi
1,2
1九州大学医学部心療内科
2PL東京健康管理センター
1Department of Psychosomatic Medicine, Kyushu University School of Medicine
pp.573-580
発行日 1977年7月20日
Published Date 1977/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202384
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はじめに
男性の性的不適応現象,すなわちインポテンツは器質的なものは極めてすくなく,ほとんどが心理的要因,あるいは機能的なものであることは既に周知のことである。たとえば背景に糖尿病のごとく,機質的な要素が考えられる場合でも,詳細に調べてみたり治療を試みると,意外に心理的役割が大きいことを認めることも,必ずしも稀ではない。
インポテンツの治療については,1960年代になつてから二つの大きな流れが確立して,従来の仕方をすつかり変えてしまつたといつても過言ではないだろう。二つの研究の一方は,Wolpeによつて打ち建てられた行動療法の一部で,彼によれば性的反応と呼ばれる治療技法である。他の一つはMasters & Johnsonの治療で知られている。Ma-stersは最初"人間の性反応"(Human Sexual Response)の著書をあらわして,そのエネルギッシュな性生理学の研究で,世に問うところ多大であつた。したがつていくつかの新知見も得られている。たとえば女子性器の陰核は,オルガスムにおいては,今まで考えられていたのとは全然逆に埋没してしまうという生理学的変化などがあげられる。そして二冊目の著書,"人間の性不適応"(Human Scxual Inadequacy)において,性不適応の臨床,すなわち独特の治療法が展開されている。
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