Japanese
English
特集 尿路性器癌の化学療法
癌化学療法の現況
Current Status in Chemotherapy of Cancer
坂野 輝夫
1
,
木村 禧代二
2
Teruo Sakano
1
,
Kiyoji Kimura
2
1国立がんセンター病院内科
2国立がんセンター病院
1Department of Internal Medicine, National Cancer Center
2Vice Director of National Cancer Center
pp.103-114
発行日 1977年2月20日
Published Date 1977/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202297
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.癌細胞および組織選択性を有する新抗癌剤の必要性について
現在臨床に応用されている抗癌剤のほとんどが核酸合成過程を中心とするDNA,RNA代謝阻害作用をその作用機序とするためにDNA,RNA代謝を中心とした分子生物学的機序による分類も試みられているが,一般的には抗癌剤は第1表のごとく分類されている。
アルキル化剤は毒ガスとして1854年に合成されたsulfur mastar(Yperit)が,その後リンパ球減少を伴う骨髄障害,胃腸障害などの全身的毒性が存在し,しかもより安定で作用が持続性のびらん性物質としてnitrogen analogulのnitrogen mastardが合成された。これが1942年Yale大学において悪性リンパ腫治療に用いられ,1946年には造血器腫瘍を含む160例の悪性腫瘍における注目される効果が報告された1〜3)。アルキル化剤の作用機序はX線に類似し,染色体のDNAとcross-linkingし,染色体の裂断bridge作用などの染色体異常を招来することにあるとされている。一般的にpoly-functionalなアルキル化剤はmonofunctionalなものに比し作用がnitrogen mustard系物質では50〜100倍強いとされている4)。そしてこの活性基すなわちethyleneimine基を各種の物質に付与し新らしい抗癌剤が開発されてきた。
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.