Japanese
English
特集 尿路性器癌の化学療法
腎癌の化学療法
Chemotherapy of Renal Cancer
黒田 恭一
1
,
勝見 哲郎
1
Kyoichi Kuroda
1
,
Tetsuro Katsumi
1
1金沢大学医学部泌尿器科学教室
1Department of Urology, School of Medicine Kanazawa University
pp.115-122
発行日 1977年2月20日
Published Date 1977/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202298
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まえがき
腎癌の治療法としては,病巣の根治手術が唯一無二の根治療法であることは異論のないところである。また腎癌においては,有転移例で原発巣摘除により転移巣の自然退行が見られた報告が散見され,Garfieldら1)によれば39例の報告例があり,Gonickら2)によれば患腎摘除術後4〜20カ月に発生し,転移巣自然退行の機序については,Grahamらの腫瘍の抗原抗体反応による説が有力視されている。かような理由により有転移腎癌における原発巣摘除手術が肯定される傾向が一部に見られ,また転移巣に対しても,積極的に手術が行なわれる傾向にある。
しかしながら,原発巣完全摘除不可能の局所拡大例も少なからず存在するので,かような症例に対しては,制癌化学療法あるいは照射療法が主体となり,あるいは手術と併用されている。またハムスター(雄)におけるエストロゲンの発癌性や,ヒトの腎癌が男子に多発し,自然退行が男子に起こりやすいことなどより,腎癌に対するエストロゲンの役割が示唆され,それに基づいて1959年以来プロゲステロンあるいはテストステロン療法が行なわれるようになり,転移巣に対するある程度の有効性が認められている。
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