今月の臨床 婦人科がんの化学療法—われわれはこうしいる
在宅癌化学療法
清水 敬生
1
1癌研究会附属病院婦人科
pp.744-747
発行日 1997年7月10日
Published Date 1997/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902979
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現時点での「在宅」化学療法(化療)は,用語のみ輸入され,明確な定義がなされぬまま一人歩きしはじめている点が心配である.「外来化療」,「在宅terminal care」との混乱もあるようである.米国では,治療費(とくに入院費用)などのnon—scientificな理由から,化療(1st lineを含めて)は外来で行われることが多い.しかしながら,「在宅」での,1st line化療の報告はなされていない.一方,「terminal care」に関しても,「在宅」に関心が寄せられてはいるものの,意外に普及していない.米国での調査報告結果をみると,1980〜1990年における婦人科癌患者の死亡場所を病院と自宅の何れかを調査したところ,1980年初期には自宅死亡が約25%であったのに対し,1990年には10%以下に減少している1).
本稿は「terminal care」ではなく,「curativecare」での「在宅治療」がテーマとされている.「在宅治療」は,本来すべての手技を在宅で行うことを指す.外来(通院)で化療を受け帰宅する場合は,「外来化療」である.本稿では,外来(病院)でIVHを留置し,infuserより薬液を持続的に注入する場合,および入院して手術的に持続動注ルートを設置し,外来で薬液をタンク内に注入し,在宅でも抗癌剤が注入される場合も含めて「在宅化療」とし,現時点での実行の可能性と問題点について述べる.
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