文献抄録
空置回腸膀胱術後の尿路結石形成
pp.311
発行日 1973年4月20日
Published Date 1973/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201594
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著者らはMassachusets総合病院泌尿器科にて1953年より1969年までに740名のIleal conduitによる尿路変更を施行した。これらの患者中65%は悪性腫瘍治療の目的で尿路変更をし,残りの36%は腫瘍以外の下部尿路障害患者である。これらの患者の経過中に尿石の発生をみたものは36名で成人35名,小児1名で結石の発生期間は最短3ヵ月,最長15年となつている。
尿路変更に際して水尿管あるいは腎盂腎炎を認めた症例は740名中46%にあつたが,一方,尿石形成をみた36症例中30名(84%)に水尿管ないし腎盂腎炎を尿路変更時に認めた症例であつた。また36名中34名に細菌尿が発見されており,菌種としてはProsteus mirabilisとP.morganiが91%を占めており,尿石の認められない患者ではProteusは約40%に発見された。結石の分析15例については蓚酸結石は1例で他はマグネシウムアンモニウム,燐酸カルシウム結石であつた。両腎結石13例,右側のみ13例,左側のみ8例,空置腸管内結石は2名である。結石症例の腸管内残尿は平均して30ml程度であるが,一方,結石のない例では平均8mlであつた。尿石症例の血清電解質については,その61%に過塩素血症アシドージスが証明された。
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