文献抄録
グラウィツ腫瘍と肝機能
pp.302
発行日 1971年4月20日
Published Date 1971/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201145
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著者らは1961年より1967年までの7年間にMayo Clinicにて400例の腎腺癌を治療し,その臨床知見について述べ,従来の報告者の臨床統計と比較してその相違点を考察している。腎癌のTriasとして今まで血尿・腫瘤・疼痛などがあげられているが,最近では診断技術の進歩で初診時の諸症状が変わつてきている点を述べている。400例中初診時に尿路症状のあつた者は166例(41%)で,残り234例(59%)はこれを欠いている。後者の内82例(21%)は臨床的な訴えのない時期に発見され,152例(38%)は体重減少,食思不進などの全身的症状を主訴としていた。このように腎腺癌の初期症状は非常に変化している。次に腎癌と肝機能低下に関する研究報告は1961年以来2,3の人々によりなされているが,著者らの症例についでは60症例に肝機能の異常が認められた。術前の肝機能検査として,Sulfobrom phthalein試験では60例中55例(91%)に異常がありPro-thrombin試験では44例(73%),γ-グロブリンでは43例(71%),血清ビリルビンでは42例(70%),アルカリフォスファターゼには36例(60%)に異常値を認めた。そして腎癌摘出後の肝機能検査は31例について行なつたところ,肝機能の回復は患者の予後判定に密接な関係のあることを述べている。
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