グラフ 高速CTによるイメージング・1
肝の腫瘍性病変
関口 隆三
1
,
森山 紀之
1
1国立がんセンター東病院放射線部
pp.161-167
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904925
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撮影台を連続的に移動させながら連続撮影を行うHelical CTの出現は,従来の撮影方法に比べ撮影時間を飛躍的に短縮することができるようになった.検査の途中で息継ぎをさせながら連続撮影を数回に分けて行う従来の撮影方法とは異なり,1呼吸停止下に全肝を一気に撮影することが可能で,上下の連続性が保たれた良好な画像を得ることができるようになった.このため鑑別診断に有効な造影CTにおいて,関心領域を連続性が保たれた造影効果の比較的同一な状態で,すなわち動脈相・静脈相などの同じ時相に撮影できるようになり,肝細胞癌をはじめとした種々の病変の存在診断ならびに質的診断精度の向上に大きく貢献している(図1)1).肝の腫瘍性疾患の質的診断を行うためには,単純CT,造影CTの早期相(動脈相)と後期相(静脈相)とを比較して,腫瘍の血行動態(経時的変化)を把握することが大切である.Helical CTは,造影CTの早期相において,肝実質があまり染まってこない時期に肝全体を撮影することが可能で,特にその威力を発揮する.
本稿では,Helical CTを用いた肝臓の腫瘍性疾患を対象とした造影検査方法および撮影方法について解説し,次に各種疾患の単純CT,造影CTの早期相および後期相の画像を提示し,読影のポイントについて解説する2,3).
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