特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
7 腫瘍
腎盂尿管腫瘍
090 腎盂尿管腫瘍(悪性腫瘍)
松本 一宏
1
,
早川 望
1
1済生会中央病院泌尿器科
pp.261-262
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103159
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1 概念・病因
尿路上皮由来の癌(腎盂癌,尿管癌,膀胱癌)の中では,膀胱癌が最も多く,上部尿路(腎盂・尿管)癌はその中の4~5%にすぎない。組織学的には尿路上皮癌が全体の90%を占める。そのほか,扁平上皮癌および腺癌がそれぞれ数%を占め,いずれも尿路上皮癌より予後は悪い。上部尿路癌は膀胱癌と同様に,空間的多発性(異所性多発)および時間的多発性(再発を繰り返す)の臨床的特徴を持っており,約40~50%の上部尿路癌において,同時性または続発性に膀胱癌を認める。一方,膀胱癌の先行や両側上部尿路発生は稀である。年齢別にみた上部尿路癌の罹患率は,50歳代から70歳代で高くなり,男性のほうが女性より約2~4倍多い。確立されたリスク因子としては,膀胱癌と同様に喫煙,合成化学染料,一部の医薬品(フェナセチンやシクロホスファミド)が挙げられ,また尿路結石に伴う慢性炎症の関与も指摘されている。
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