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編集後記
藤岡 知昭
pp.624
発行日 2012年7月20日
Published Date 2012/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102868
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先日,敬愛する先生に『そこが知りたい,教室の研究』の講演をお願いいたしました。その中で特に「なるほど」と感銘を受けたのは,学者は小・中・大の三段階に評価されるということでした。すなわち,その時点で脚光を浴びている新たな研究手技のみを有しているのが小学者,画期的な考えや研究手法を有しているのが中学者,深い研究実績があり人間的にも尊敬されるのが大学者です。若手の最初の研究指導者や留学先を選択する際には,小学者の施設が手っ取り早いと思いますが,それがすべてになっては寂しいと思います。
近年,小学者のままで停滞し満足している研究者も多いと思います。一方,大学者の多くは,小学者から中学者の過程を経ているはずで,小学者は単に大学者の初歩段階にすぎないことになります。貴重な時間や経費を使う研究生活において,その指導者として大学者にめぐり会えた人は幸運です。小生は自分のこれまでにおいて大学者に指導をうけた強運に感謝はしたものの,自分に対する教室員による評価を考えると,何とも身の置き場のない気持ちで一杯でした。この日の講演は,さすが大学者そのものでした。
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