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編集後記
藤岡 知昭
pp.616
発行日 2010年7月20日
Published Date 2010/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102091
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宴会の余興として,盛岡市指定無形文化財の古武道「諸賞流・和(やわら)」を思いつきました。これは,「柔」ではない「和」で,現代の相撲,柔道,剣道,空手などの原点ではないかと思いますが,進化したスポーツとは明らかに異なる武道で,危険な技と精神鍛錬の合体したものです。
「諸賞流・和」の成り立ちを紹介します。起源は古く1,000年以上前,藤原鎌足を開祖とする「狐伝流」に遡ります。鎌足の没後150年間,この武道の伝承が途絶えていましが,後の征夷大将軍・坂上田村麻呂が清水観音に参籠した際に「藤原鎌足の創立した和(狐伝流)を夢想の中に受け継いだ」との言葉より復興され,銘を「夢想観世流」と改銘させました。この「夢想観世流」は,源頼朝により「諸賞流」と命銘されました。すなわち,鎌倉開幕のお祝いの大相撲大会において,並み居る強豪を寄せつけず勝ち進んできた法師力士の大男を,小柄の武士が,組み合った一瞬に何度も投げ飛ばしたと伝えられています。この完勝した者こそ「夢想観世流」27代師範の毛利宇平太国友であり,観戦した頼朝を始め家臣諸侯はみな国友の「和」の技を高く賞賛し「諸賞流」の銘を授けました。ここに,「諸賞流」の初代師範の誕生となったわけです。
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