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『臨床泌尿器科』66巻1号での小生の疑問に応えて,66巻2号で岡田淳志先生が色々調べてお答えいただきありがとうございました。現役の先生が歴史に興味を持ち,真剣に関わっていただき感謝しております。
その後改めて坂口勇先生の1919年(大正8年)4月の日本泌尿器病学会総会発表抄録(日本泌尿器病学会雑誌8:95-96,1919),武井勝氏の「国産膀胱鏡の生まれるまで」(医科器械雑誌15:269-276,1938)を読むと,坂口先生が桑原氏(武井氏を坂口先生に紹介した同業者)に命じて製造改良した第1回の製品として,6本の使用可能な膀胱鏡(国産第1号,武井製であることは上記文献より明らか)を入手したとしてこれを報告している。これは輸尿管膀胱鏡(シースとスコープは別)を参考にしたもので,検査用より3cm長く太さは18Fで,視野の大きさが大小不均一であったと記されている。また坂口先生が,次回分として製作しつつあるものはすべてニッツェ式にして,3cm短くF20の太さで視野を大きく明るくし,それに成功すれば漸次手術用膀胱鏡などへと発展させ,それらを発売するには膀胱鏡に番号と検定済證,使用説明書をつけることを提案している。これらのことから,坂口先生が1919年国産最初の膀胱鏡として学会に報告した膀胱鏡と,その後先生が検定して番号を付けた最初の膀胱鏡(以下検定第1号)は違うことになり,小生が単に「第1号膀胱鏡」と表現したことが多少問題であることがわかった。すなわち,69号を見た時点で国産第1号は検定第1号と同じであろうと勝手に判断したことは間違いであった。現時点では国産第1号と検定第1号では長さ太さが違うことは明らかであるが,接眼漏斗部の形などは推論するしかなく,さらに明確な結論を出すべく今後努力するしかない。
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