書評
「プロメテウス解剖学アトラス コンパクト版」―坂井建雄 監訳/市村浩一郎,澤井 直 訳
埴原 恒彦
1
1北里大学・解剖学
pp.654
発行日 2011年8月20日
Published Date 2011/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102460
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解剖学の初学者にとって,用語の暗記はいつも重くのしかかる。解剖学は暗記ではなく理解する学問であるという言葉は,教える側の常用句であるが,それ以前に基本的な解剖学用語は覚えておかなければ,理解の段階までいかないのである。ゲームでいえば,そのゲームが面白いか面白くないか,どうしたら勝てるのかなどを理解する前に,まずはルールを覚えなければ何も始まらない。ゲームであろうが勉強であろうが,それを理解し発展させるための第一歩は,多くの場合,砂を噛むような思いも伴う。
解剖学は近代医学として最初に確立され,ヴェサリウス以降400年以上にわたり蓄積されてきた知識体系があり,したがって,その用語も膨大な量である。初めて解剖学を学ぶ医学生の多くはその量の多さに圧倒され,最初から消化不良を起こす。分厚い,何分冊かの解剖の教科書,アトラス,あるいは解剖学用語といった本を前に,医学生が何から手をつけたらよいのか呆然としてしまうのは,むしろ当たり前であろう。
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