書評
「プロメテウス解剖学アトラス コンパクト版」―坂井建雄 監訳/市村浩一郎,澤井 直 訳
依藤 宏
1
1群馬大学大学院・機能形態学
pp.551
発行日 2011年7月20日
Published Date 2011/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102438
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解剖実習は医学生が専門課程に進学して最初に突き当たる一大関門である。集中力を要求される剖出作業,剖出した多数の構造に付けられた見慣れない名称の暗記。そこには,電車の中でよく見かける,高校生が教科書の単語をマーカーで塗り,その上に反対色の透明シートをかけて単語を隠し覚えるといった方法ではこなしきれない質的に異なる勉強法が要求される。すなわち解剖学では,というより専門課程の科目では,すべて必要事項の重要度のランク付けを行い,その重要度の高いものを押さえたうえで,徐々に重要度の落ちるものへと手を広げていくという勉強法が必要なのである。
今回,解剖実習で医学生が押さえておくべき解剖図を集めた図譜が出版された。それがこの『プロメテウス解剖学アトラス コンパクト版』である。この本の図はコンピュータグラフィクスによる美しい図譜として多くの医療関係者にインパクトを与えた『プロメテウス解剖学アトラス』のシリーズの1冊『コアアトラス』から選んだものである。学生の勉学用にカード式として出版された原書を,監訳者が長年の教育者としての見識を元に,本来のカードにはなかった工夫を随所に盛り込んで書物の形としている。
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