書評
「泌尿器科レジデントマニュアル」―郡 健二郎 監修/佐々木昌一,戸澤啓一,丸山哲史 編
藤岡 知昭
1
1岩手医科大学・泌尿器科学
pp.633
発行日 2011年8月20日
Published Date 2011/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102457
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小生は,聖路加国際病院の卒後臨床研修に進みましたが,先輩のレジデントは,常に『ワシントン大学マニュアル(Manual of medical therapeutics 20th edition. Department of Medicine, Washington University School of Medicine)』を携帯・使用していました。例にもれず小生もその本を入手・愛用し,現在もボロボロの状態ですが本箱の片隅で健在です。この本には,泌尿器科に特化する記載はほとんどありませんが,泌尿器科の日常診療において遭遇する問題点の対処・解決に強力な手助けとなりました。すなわち,専門領域を超えて共通の課題に対して基盤となる知識,対処,救急処置が簡潔に記載されているのです。
今回,郡 健二郎教授監修の『泌尿器科レジデントマニュアル』の書評の依頼を受け,読み始めの第一印象は,先に述べた『ワシントン大学マニュアル』と同じ香りを感じました。本書では,各疾患ガイドラインやマニュアルを使用する場合にしばしば遭遇する弊害であると指摘されていた問題点,すなわち,文字や図表のみを追い,その背景にある事柄を理解しないという点を危惧し,医師として必要な思考力,観察力,洞察力の養成について配慮するという意図をもって企画・編集されたことがわかります。また,泌尿器科領域の診療に関して,基礎知識から処置・トラブル対処法,検査法,症状・症候から診断へ,疾患,全身合併症と周術期管理,代表的手術と周術期管理,さらには泌尿器科に関わる緩和医療まで,整理された必要な項目について実践的かつ簡潔に記載しています。
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