書評
―坂井建雄(監訳),市村浩一郎・澤井 直(訳)―「プロメテウス解剖学アトラス コンパクト版」
埴原 恒彦
1
1北里大・解剖学
pp.596
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102012
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解剖学の初学者にとって,用語の暗記はいつも重くのしかかる.「解剖学は暗記ではなく理解する学問である」という言葉は教える側の常用句であるが,それ以前に基本的な解剖学用語は覚えておかなければ,理解の段階までいかないのである.ゲームでいえば,そのゲームが面白いか面白くないか,どうしたら勝てるのかなどを理解する前に,まずはルールを覚えなければ何も始まらない.ゲームであろうが勉強であろうが,それを理解し発展させるための第一歩は,多くの場合,砂を噛むような思いも伴う.
解剖学は近代医学として最初に確立され,ヴェサリウス以降400年以上にわたり蓄積されてきた知識体系があり,したがって,その用語も膨大な量である.初めて解剖学を学ぶ学生の多くはその量の多さに圧倒され,最初から消化不良を起こす.分厚い,何分冊かの解剖の教科書,アトラス,あるいは解剖学用語といった本を前に,学生が何から手をつけたらよいのか呆然としてしまうのは,むしろ当たり前であろう.
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