書評
「プロメテウス解剖学 コア アトラス」―坂井建雄 監訳/市村浩一郎,澤井 直 訳
中田 隆夫
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1東京医科歯科大学大学院・細胞生物学
pp.267
発行日 2011年4月20日
Published Date 2011/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102371
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私事で恐縮であるが,外科医であった父の本棚には父の学生時代の教科書がいくつかあった。当然その内容は古く,私が医学生になってみてみると,内容が使えそうなのは解剖学(マクロ)だけであった。それも日本が貧しい時代の印刷の悪いものであった。私の学生時代,よいアトラスといえばPernkopfかSobottaかであった。父にPernkopf 2巻を買ってもらった。十分使いこなせたとはいえないが,図の精緻さ,美しさは素晴らしく,今も職場の本棚にある。時代の趨勢もあり,これらを超えるようなアトラスは今後作られないだろうと思っていた。実際,学習に便利であったり,安価であったりするよいアトラスは出版されても,唸るような素晴らしいアトラスはみることはなかった。
プロメテウスの第1巻をみたとき,解剖学のアトラスにこのような進化の方向があったのかと感動した。CGを使っているからであろうか,精緻だが生臭さを感じないドライな図柄,鮮やかだが上品な色合い。洗練されたレイアウト。一見するだけで,著者やブックメーカーの意気込みを感じた。
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