特集 血液透析―カレントトピックス
企画にあたって
仲谷 達也
1
1大阪市立大学泌尿器科
pp.527
発行日 2011年7月20日
Published Date 2011/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102434
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高齢化や生活習慣病一般化の影響を受けて,慢性腎不全を取り巻く環境は2000年以降著しく変化した。年間3万数千人の血液透析新規導入患者の過半数は,糖尿病および腎硬化症を基礎疾患とし,こうした患者では,末期腎不全に進展するよりもかなり以前から,腎機能低下が心筋梗塞や脳梗塞など心・血管病の原因となっていることがいくつかのコホート研究で明らかにされた。また,透析患者の死亡原因の4割が心・血管病であり,健常者の半分程度の平均余命とされている透析患者の予後を改善するためには,早急に新たな取り組みを開始することが課題となっている。
以上のような背景のもと,日本透析医学会においては20年ぶりに血液透析ガイドラインのバージョンアップが行われようとしている。わが国の血液透析では,かなり以前から施設間・地域間格差による透析治療成績のバラツキが指摘され,これを是正するためにも血液透析治療標準化の必要性が唱えられていた。標準化の際の主なポイントとして,CKDステージ5でのオプション提示と透析導入法,適正なバスキュラーアクセス作成と管理,透析液清浄化,骨・ミネラル代謝異常に対する治療選択,腎性貧血対策,心・血管病予防,悪性腫瘍マネージメントなどが挙げられており,今回の企画でもこのような項目に重点をおき,それぞれの分野におけるわが国の第一人者に執筆をお願いした。
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