特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅳ 開腹手術
■尿管の手術
079 巨大尿管症に結石が多発している
石田 俊哉
1
,
佐藤 滋
2
Toshiya Ishida
1
,
Shigeru Sato
2
1市立秋田総合病院
2秋田大学医学部腎置換医療学講座
pp.219-220
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102327
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Q 巨大尿管症の手術を開始した症例。腎盂および尿管内に多数の結石を認める。
[1]概 説
巨大尿管症(megaureter)という名称は,Caulk1)が1923年に症例報告で用いたのが最初であり,膀胱尿管逆流症を合併しない非逆流性巨大尿管症(non-reflux megaureter)と膀胱尿管逆流を伴う逆流性巨大尿管症(reflux megaureter)に大別される。逆流性巨大尿管症では,小児期から腎盂腎炎を繰り返して比較的早期に発見されることも多いが,非逆流性巨大尿管症では,無症状で検診により偶然発見されることもある2)。また腎尿管結石を合併することも多く,疝痛発作を主訴に見つかる成人例もある。結石は広いスペースの中で転がるため,玉砂利状の丸い結石であることが多い。(図1,2)
巨大尿管症の手術には,腎機能の保持や改善を目的として尿管縫縮術や逆流防止式膀胱尿管新吻合術などがあるが,本設問は合併する結石の対処方法である。通常,術前検査としてCTやDIPなどを行い,結石の有無や個数は確認されているはずであるが,多発している場合は取り残しがないように細心の注意を要する。
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