特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅳ 開腹手術
■根治的腎摘除術
065 脾臓を損傷してしまい出血が止まらない
加藤 智幸
1
,
冨田 善彦
1
Tomoyuki Kato
1
,
Yoshihiko Tomita
1
1山形大学医学部腎泌尿器外科
pp.184-186
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102313
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Q 経腹的に,左側根治的腎摘除術を開始した症例。脾臓を損傷してしまい,出血が止まらない。
[1]概 説
開腹左腎摘出術の際,膵脾の授動や下行結腸の授動は極めて有用な手術手技である。その際に視野を確保しようとして,脾臓に付着した大網や脾結腸間膜などを無理に牽引すると,脾臓を損傷する可能性がある。脾臓の被膜は薄いため,比較的容易に脾損傷が起こりやすい。損傷が起こると,容易に出血するばかりでなく,止血に難渋することも多い。そのために脾摘を余儀なくされる場合もある。脾損傷を起こさないように慎重な操作を行い,予防策を講じることが最も重要なのはいうまでもないが,損傷が起こってしまった場合には,その状況に応じた対策を講じることが重要である1)。
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