特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
4 尿路・性器の感染症
性感染症
065 クラミジア感染症
濵砂 良一
1
1産業医科大学医学部泌尿器科
pp.193-195
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103134
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1 概念・病因
クラミジア感染症はChlamydia trachomatisによる感染症である。C. trachomatisは偏性細胞内寄生体であり,特殊な生活環を持つ。細胞外では,感染性を持つ基本小体(elementary body:EB)という球体の形態をとる(核とリボゾームを充満した細胞質を有する)。EBが宿主細胞に感染すると,網様体(reticular body:RB)という形に変わる。RBは核,細胞質の区別のない構造で,二分裂を繰り返しながら増殖し,宿主の細部質内に封入体を形成する。感染後,20~24時間後に成熟すると,EBに変わり細胞を破って細胞外に出る。
C. trachomatisは性感染症(sexually transmitted infection:STI)から最も高い頻度で分離される病原体である。性器クラミジア感染症として,男性では主に尿道炎と精巣上体炎を,女性では子宮頸管炎と骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory diseases:PID)の病態を示す。男性尿道炎患者の30~40%より分離され,女性ではSTIの60~70%を性器クラミジア感染症が占める。また,淋菌感染症の約20%にC. trachomatisが合併感染する1,2)。
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