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CASE
症例:71歳、男性。
主訴:意識障害。
患者背景:ADLは概ね自立し愛犬と暮らしており、別居の家族(妻・娘)が定期的に訪問。ex-smoker(61歳まで1箱/日)、飲酒は缶チューハイ900mL/日。
現病歴:来院約2週間前(X-13日)、左下肢の腫脹が出現したため近医を受診し、その際待合室で痙攣発作をきたし、他院へ救急搬送された。画像上、左大腿部の血腫が確認されたが、深部静脈血栓症は否定され、帰宅となった。
X-1日:自宅内で転倒し、腰部の疼痛を別居の家族へ電話で伝えていた。
X日:電話連絡がつかなくなり、家族が自宅を訪問したところ、玄関先で倒れているのを発見。意識も悪く当院へ救急搬送された。
既往歴:高血圧、認知症、肝機能障害、脳梗塞で近医に通院中。
来院時身体所見:
general appearance:sick。
バイタルサイン:体温38.0℃、血圧132/83mmHg、脈拍数83回/分、呼吸数24回/分、SpO2 100%(リザーバーマスク8L/分)、GCS E2V2M4。
頭頸部:対光反射は左右ともに正常(4mm/4mm)、眼瞼結膜蒼白あり、眼球結膜黄染なし。明らかな外傷はなし。
胸部:胸郭変形なし、呼吸音異常なし、肺雑音は深呼吸困難ではっきりしない、心雑音なし。
腹部:平坦・軟で圧痛なし、肝腫大・脾腫なし。
体幹・四肢:両側足関節に腫脹あり、胸腰椎移行レベルで脊柱圧痛あり。
皮膚:右股関節外側、両側腹部下部、両側大腿部内側、両側下腿後面に皮下出血あり。
神経:明らかな四肢麻痺はない。腱反射は正常、Babinski反射 陰性。
内服歴:カンデサルタン8mg/日、アムロジピン7.5mg/日、ドネペジル5mg/日、チクロピジン200mg/日、カルベジロール20mg/日
検査結果
血算:WBC 16,300/μL、Hb 4.3g/dL、Ht 13.6%、MCV 105.4fL、Plt 31.5×104/μL、網赤血球156.7‰
末梢血塗抹目視所見:白血球に悪性所見なし。赤血球の形態異常なし。赤芽球が散見される。血小板の異常所見なし。
凝固:PT% 48.4%、PT-INR 1.42、APTT 120秒以上(基準23〜37秒)、D-ダイマー6.9μg/mL
生化学:CPK 2,089U/L、AST 60U/L、ALT 19U/L、LDH 705U/L、TP 5.8g/dL、Alb 3.2g/dL、T-Bil 1.9mg/dL、D-Bil 0.6mg/dL、BUN 30.3mg/dL、Cr 1.22mg/dL、eGFR 45.9mL/分/1.73m2、Na 141mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 106mEq/L、CRP 7.33mg/dL、血糖171mg/dL、HbA1c 5.0%、Fe 21ng/dL、フェリチン733.0ng/mL
免疫血液学的検査:直接Coombs試験 陰性。
頭部単純CT検査:左前頭部外傷性くも膜下出血の所見(図1Ⓐの色マル内)。
胸腹部造影CT検査:右下葉に肺炎像。第12椎体に急性期破裂骨折と脊柱管狭窄の所見。右腸腰筋腫大があり、筋損傷の所見を認める(図1ⒷⒸⒹの色マル内)。

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