特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅲ 体外衝撃波砕石術(ESWL)
058 腎周囲に血腫ができてしまった
近沢 逸平
1
,
菅 幸大
1
,
鈴木 孝治
1
Ippei Chikazawa
1
,
Koudai Suga
1
,
Kouji Suzuki
1
1金沢医科大学泌尿器科学教室
pp.164-166
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102305
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Q ESWLを施行後に側腹部痛がみられる症例。腹部CT検査を行ったところ,腎周囲に血腫を認めた。
[1]概 説
近年,尿路結石に対する内視鏡治療が発達,普及しているが,いまもなお体外衝撃波結石破砕術(extracorporeal shock wave lithotripsy:ESWL)は尿路結石のgold standardな治療法といえる。尿路結石症診療ガイドラインでも,ESWLは積極的治療対象となる腎結石(長径20mm以下の腎結石)の大部分に対して第一選択の治療法として推奨されている1)。筆者らの施設では2008年から,SIEMENS社製LITHOSKOP®(以前は,Dornier社製Lithostar Plus)を導入し,外来的にESWLを年間約90セッション(そのうち腎結石は約25セッション)施行している(図1)。これまで術後に入院を必要とするような腎被膜下血腫を経験したのは1例のみであった(図2)。平井ら2)のまとめた結果ではESWL後の腎被膜下血腫の頻度は0.078~0.6%であり,術後ルーチンにCTまたはMRIを撮影することによって32%の被膜下血腫が新たに発見される3)とされている。よって無症状のまま見逃されている症例は多数存在すると考えられる。
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