特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅱ 体腔鏡下手術
■腹腔鏡下根治的腎摘除術
031 腎茎を損傷してしまい視野が保てない
前田 高宏
1
,
宮嶋 哲
1
Takahiro Maeda
1
,
Akira Miyajima
1
1慶応義塾大学医学部泌尿器科学教室
pp.95-96
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102277
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Q 腹腔鏡下根治的腎摘除術を開始した症例。術中に腎茎を損傷してしまい,視野が保てなくなった。
[1]概 説
腹腔鏡下根治的腎摘除術における血管損傷の合併症の発生頻度はアプローチ方法によらず,おおむね2%以下である。この割合は開腹手術のそれと変わらないが1),直接圧迫止血することのできない腹腔鏡下手術においては,腎茎損傷は最も重篤な合併症の1つであり,大量出血の原因となる。また,良好な視野が保てない中で手術を継続すると,予期せぬ合併症を引き起こす危険性がある。術前から,血管の走行,腎臓全体や血管同士の位置関係を十分把握したうえで,血管の剝離においては安全な鉗子操作を心掛けるのはもちろんであるが,日頃から腎茎損傷をした場合,どういった対応をすべきか想定しておき,実際の場面では焦らず冷静に対応することが肝心であると考える。
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