Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「メメント」―10分しか記憶を保てない男の話
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.275
発行日 2002年3月10日
Published Date 2002/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109720
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「メメント」(監督/クリストファー・ノーラン)の主人公レナード(ガイ・ピアース)は妻が殺されたショックで前向性健忘という記憶障害を負った.発症以前の記憶はあるが,新しいことを覚え込む機能に弱さがあるというもの.レナードの場合,妻が殺される前の記憶には異常はないが,それ以降の記憶については10分程度しか保てない.つまり,時間の経過とともに記憶が壊れていくのだ.このようなハンディを抱えながら妻殺しの犯人を突きとめようとするのだが果たしてうまくいくのだろうか.
本作の作りは一風変わっている.というのもレナードの症状に合わせて,話が現在から過去へと遡行していくのだ.だから映画の終わりが話の始まりでもあるわけで,観客も映像の断片を組み替えていかなければ謎解きはできない.そう,本作は謎解きものである.一回観ただけではわからないということでリピーターになる人が多いそうだ.
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