書評
「透視下神経ブロック法」―大瀬戸清茂 編
菊地 臣一
1,2
1福島県立医科大学
2福島県立医科大学整形外科学
pp.170
発行日 2010年2月20日
Published Date 2010/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101904
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痛みを,症状としてではなく,診断として扱うようになったのは1980年代である。痛みそれ自体を治療の対象とする時代が到来したのである。この結果,ペインクリニックが創設された。
そのときから約30年が経過した今という時代,痛みに対する認識も劇的に変化を遂げている。まず,最新の科学は,痛みをできるだけすみやかに取り除くことの大切さを立証した。次に,痛みを取ることは治療の目的ではなく,痛みの除去は健康な生活にすみやかに復帰させるための手段であるという認識が確立された。第三に,痛みの治療効果の向上には,患者と医師との信頼関係,そしてplacebo効果(心理的効用)が深く関与していることもわかってきた。第四に,痛みの増悪や遷延化には,従来われわれが認識していた以上に早期から,心理・社会的因子が深く関与していることが立証された。
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