交見室
病院食の在り方
勝岡 洋治
1
1大阪医科大学泌尿器科
pp.649
発行日 2009年7月20日
Published Date 2009/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101792
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現在,筆者は本学付属病院で栄養部長の二期目を務めている。栄養部の責任者として,栄養士,調理師,補助要員などを指導・監督し,食の安全確保と治療食の適正化,加えて一般食を含む病院食に対する患者の満足度を向上させる立場にある。
平成18年の診療報酬改定で食事療養費が減額されたことにより病院収入は大幅に減少している中で,臨床における栄養管理の重要性が広く認識されるようになり,国は管理栄養士を始めとして,医師,薬剤師,看護師その他の医療従事者が共同して患者の栄養状態などの栄養管理を行うことを評価した栄養管理実施加算を新設して,病院給食の質的改善を求めている。外科治療や内科治療に並ぶ食事療法の考えの導入である。この理念を順守するのは必ずしも容易ではない。その背景には,食材価格の高騰,人件費の負担増などの経済的側面が大きいが,さらには患者個人の長年の食習慣と嗜好,食の作り手の医療人の一員として治療参加への意識の欠如,医師の食事療法に関しての無知と無関心も無視できない。
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